
院長:鳥井お気軽にご相談ください!

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お子さんが朝なかなか起きられず、学校に行くのが辛そうな様子を見て、心配されている親御さんは多いのではないでしょうか。起立性調節障害は思春期に多く見られる自律神経の病気で、決してお子さんの怠けや甘えではありません。適切な治療と日常生活の工夫を組み合わせることで、多くのお子さんが改善していきます。
当院にも起立性調節障害でお悩みのお子さんとご家族が多く来院されますが、身体の状態を整えることで症状が軽減していくケースをたくさん見てきました。この記事では、医学的に効果が認められている治療法から家庭でできる対策まで、具体的にお伝えしていきます。


起立性調節障害は適切な対処で必ず改善していきます。焦らず一緒に取り組んでいきましょう
起立性調節障害の治療は、まず生活習慣の改善や環境調整といった非薬物療法から始めるのが基本です。これらの方法でも改善が見られない場合や、症状が中等症以上で学校生活に大きな支障が出ている場合には、薬物療法も検討されます。治療を始めてから1年後には約半数、2〜3年後には70〜80%のお子さんが改善していくという研究報告もあり、決して治らない病気ではありません。
重要なのは、お子さん本人とご家族、そして学校の先生が病気について正しく理解することです。周囲の理解があるだけでも、お子さんの心理的な負担は大きく軽減されます。また、一つの方法だけに頼るのではなく、複数のアプローチを組み合わせていくことが改善への近道となります。
起立性調節障害のお子さんは、血液の循環量が不足していることが多いため、水分と塩分をしっかり摂ることが非常に大切です。朝起きてすぐにコップ1杯の水を飲む習慣をつけるだけでも、立ちくらみの予防に効果があります。


水分補給は一度にたくさん飲むのではなく、こまめに分けて飲むのがポイントです。スポーツドリンクや経口補水液を活用すると、水分と塩分を同時に補給できるので効率的です。食事では味噌汁や梅干しなど、自然な形で塩分を取り入れるのもいいと思います。
朝ベッドから起き上がるとき、急に立ち上がるとめまいや立ちくらみが起こりやすくなります。まず布団の中で手足を動かして血液の循環を促し、それから上半身だけをゆっくり起こして30秒ほど座った状態で待ちます。その後、壁や家具につかまりながらゆっくりと立ち上がるという段階的な方法を取ると、症状を軽減できます。
この起き上がり方は学校でも応用できるため、保健室の先生と相談しながら、授業中に気分が悪くなったときの対処法として覚えておくとよいでしょう。焦らずゆっくり動作することが、症状を悪化させないコツです。
起立性調節障害では運動を控えるべきと思われがちですが、実は適度な運動は治療において非常に効果的です。特に下半身の筋肉を鍛えることで、血液が下半身に溜まるのを防ぎ、心臓への血液の戻りがスムーズになります。おすすめなのは、横になったままできる足上げ運動や自転車こぎのような動作、軽いウォーキングなどです。
運動する際は、お話ができる程度の軽い有酸素運動を心がけ、疲れる前に休むことが大切です。部活動を続けている場合は、体調に合わせて練習内容を調整してもらうよう、顧問の先生に相談するとよいでしょう。無理をせず、少しずつ運動量を増やしていく姿勢が重要です。
起立性調節障害のお子さんは、夜なかなか眠れず朝起きられないという悪循環に陥りやすい傾向があります。体内時計を整えるためには、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる習慣をつけることが効果的です。光は体内時計をリセットする最も強力な刺激となります。


夜は就寝の1時間前からスマートフォンやタブレットの使用を控え、部屋の照明を少し暗くして眠りやすい環境を作りましょう。どうしても寝付けない場合は、睡眠薬の使用も選択肢の一つとなりますので、主治医に相談してみてください。規則正しい睡眠リズムが確立されると、朝の症状も徐々に軽くなっていきます。
起立性調節障害の薬物療法で最もよく使われるのが、ミドドリン塩酸塩という血管を収縮させて血圧を上げる薬です。副作用が少なく安全性が高いため、第一選択薬として多くの医療機関で処方されています。起き上がる30分から1時間前に服用すると効果的で、朝の立ちくらみやめまいを軽減してくれます。
薬の効果が現れるまでには1週間から2週間ほどかかることがあり、服薬後2か月経ってから最も良い効果が得られるという研究報告もあります。すぐに効果が出ないからといって中断せず、医師の指示に従って継続することが大切です。また、学校が休みの日は休薬するなど、薬に慣れて効果が弱まるのを防ぐ工夫も必要になります。
ミドドリン塩酸塩で十分な効果が得られない場合は、アメジニウムメチル硫酸塩(リズミック)という交感神経の働きを活発にする薬が使われることもあります。また、動悸が強いタイプの起立性調節障害には、心拍数を低下させるプロプラノロール塩酸塩(インデラル)が効果的です。
漢方薬を併用するケースもあり、お子さんの体質や症状に合わせて処方されます。睡眠障害が強い場合には、メラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬といった睡眠薬が使われることもあります。薬物療法は必ず医師の診断と処方のもとで行い、副作用や効果について定期的に確認しながら進めていきます。
当院では、起立性調節障害に対して自律神経のバランスを整えるカイロプラクティックケアを行っています。自律神経は背骨を通る神経系によってコントロールされているため、背骨の歪みや関節の動きの悪さを改善することで、自律神経の働きが正常化していくケースが多く見られます。


お子さん一人ひとりの身体の状態に合わせた施術を提供しています。栄養についても当院ではアドバイスしています。親御さん協力の元、行うことでより早い改善が期待できます。
起立性調節障害の治療において、学校の先生方の理解と協力は欠かせません。保健室での休息を認めてもらう、午前中の授業は遅刻を配慮してもらう、体育の授業は見学や軽い参加にするなど、具体的な配慮をお願いすることが大切です。診断書や説明資料を用意して、担任の先生や養護教諭と面談する機会を設けるとよいでしょう。
お子さん自身も自分の病気について理解し、無理をせず体調に合わせて行動することを学んでいく必要があります。完璧な出席を目指すのではなく、少しずつ登校時間を増やしていくという段階的なアプローチが、心身の負担を減らしながら学校生活に戻るコツです。
起立性調節障害のお子さんは、「学校に行けない自分」に対して罪悪感や劣等感を抱きやすく、それがさらに症状を悪化させる悪循環を生むことがあります。親御さんは「怠けている」と叱るのではなく、病気であることを理解したうえで、お子さんの気持ちに寄り添う姿勢が何より大切です。
必要に応じて臨床心理士によるカウンセリングや認知行動療法を受けることも、治療の選択肢として考えてみてください。自分の考え方や周囲の環境を客観的に見つめ直すことで、ストレスへの対処法を身につけることができます。家族全体でお子さんを支える体制を作ることが、回復への大きな力となります。
起立性調節障害は一時的に学校生活に大きな影響を与える病気ですが、適切な治療とサポートがあれば、多くのお子さんが徐々に改善していきます。重症の場合は回復に時間がかかることもありますが、大人になったときには日常生活にほとんど支障がない程度にまで良くなっていくケースがほとんどです。
焦らず、お子さんのペースに合わせて治療を続けていくことが何より重要です。生活習慣の改善、薬物療法、身体のケア、心理的サポート、学校との連携といった多面的なアプローチを組み合わせることで、確実に前進していきます。当院でも、カイロプラクティックの観点から自律神経のバランスを整えるお手伝いをさせていただいています。
一人で悩まず、まずは当院にご相談ください。医療機関での治療に加えて、身体の歪みを整えるケアを取り入れることで、より早く快適な毎日を取り戻せる可能性が広がります。お子さんの明るい未来のために、私たちと一緒に取り組んでいきましょう。

